2期生で入学し5期生で卒業しました。卒後は仕事一筋。同級生の皆様と交流をもてなかった非礼をお詫びし、また長くお世話になった滋賀医大に成果を報告できる機会が与えられ感謝します。
一過性全健忘(TGA)の研究について
TGAの発症メカニズムは未だに解明されていません。三重県松阪中央総合病院に勤務中、発作中に脳血流シンチグラフィ(SPECT)を施行することができ、これがもとでetiology論争に一定の方向性を与えることができました。掲載雑誌はIMA、「Maximum isotope accumulation in the retrosplenial cortex ・・・ 」の別刷をご希望の方、07y.watanabe09@gmail.comにメールください。ALS論文もお送りします。
臨床医が研究するという悲哀
研究する前に、以下を知っておくべきでした。研究を生業にしない臨床医は、研究はプライベート タイムでする。共同執筆者に頼らず自力でする。新たな知見に取り組む時、興味を示す同僚・先輩はいません。貯金しょう。投稿サポート業者に頼らざるをえないので。投稿し査読者から受けるコメントは、辛辣な批評ほど意義深い。
弱みは実は強み 留年中の後輩たちへ
私はドイツ語と生理学のため3年も留年しました。この年で思うに、「これらに学習意欲がわかない弱みとは、そこに自分にしかわからない何かとてつもない深さ・高さ・意義を予感し、その前に恐れ、たじろいでいたためではなかったのか」と。診察時、病態生理にこだわり、TGAの原因はspreading depressionだと30年も前から直感しました。専門の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の終末期医療について、論文「尊厳死法制化の論争が明らかにしたこと・・・筋萎縮性側索硬化症患者を中心に検討」を書きました。呼吸器装着の意思決定のあり方を考える時、揺れ動く自分が自己決定できるか、意思決定する自分とは何者か・・・等の観点を無視できませんでした。悶々としていた時期、趣味で聞いていたドイツ歌曲の歌詞がこれらに答えてくれました。
私は留年中、一里山にあるキリスト教会で洗礼をうけました。「神は弱いところに完全にはたらいてくださる」(第2コリント人への手紙 12章9節)これは真実です。留年生諸君、弱り果ててもじっと耐えてください。自己実現の手がかりがそこにあります。