【プロフィール】
1998年  3月 滋賀医科大学医学部医学科卒業
1998年  5月 滋賀医科大学医学部附属病院眼科 研修医
1999年  4月 伊丹市民病院眼科 研修医
2000年  4月 滋賀医科大学医学部医学科大学院博士課程入学
2004年  9月 滋賀医科大学医学部医学科大学院博士課程修了
2004年  4月 滋賀医科大学医学部附属病院眼科 医員
2005年  7月 滋賀医科大学医学部眼科学講座 助手
  2006年  2月 国立病院機構滋賀病院眼科 医長
2009年  1月 公立甲賀病院眼科 医長
         現在に至る
 <インド・ダラムサラ・アイキャンプ経歴>
 (ダラムサラ・アイキャンプの活動自体は2000年より始動)
2002年度〜  アイキャンプ隊 隊員
2008年度〜  アイキャンプ隊 副責任者
2010年2月   特定非営利活動法人 アジア眼科医療協力会 常任理事
2010年度〜  アイキャンプ隊 責任者
        現在に至る

岡田



『臨床・福祉領域、その他の活動領域』
岡田 明
(医18期生、公立甲賀病院 眼科医長
「アイキャンプに感謝」

     
 インド・ダラムサラでのアイキャンプ継続活動について『湖医会賞』を頂けることを知った時、アカデミックな業績ではないこともあり驚きました。アイキャンプとは、医療施設の無い地方の町や村にも眼科医療の恩恵を受けてもらうために、ネパールやインドで行われている野外開眼手術活動です。私自身、過分な受賞に戸惑いながらも、これまで共に活動してきたアイキャンプ・チームの皆で大変喜んでおります。これまで実際に活動してきた仲間、応援・ご支援して下さった方々や協賛組織、年末年始の活動中に自分たちが不在の職場や家庭を守って頂いた同僚や家族‥関係してきた皆で頂けた賞です。副賞については今後の活動の為に使わせて頂きます。参加し始めた頃、日本で手術を一人担当させて頂くことに1000円をアイキャンプ貯金として、自分で自分に寄付をしておりました。200人の担当をさせて頂いてやっと20万円です。
 年末が近づき貯金が増えてくるにつれ、その1年間で担当させて頂いた患者さんの顔が浮かび、無事アイキャンプへ参加できることに対する感謝の気持ちが沸き起こりました。逆にインドで学んだことは翌年から自分の仕事場で還元できるよう行動しました。インドで担当させて頂いた患者さん、病状について懸命に質問する御家族、そして何よりチームワークを教えてもらった「仲間」に感謝しながら1年間を過ごし、また次のアイキャンプを迎える‥そういう繰り返しでした。また受賞記念講演という機会を頂いたことで、少しの興味と少しの勇気があれば国際医療協力活動に参加できることを、特に学生の皆さんにお伝えできることを嬉しく思っております。そもそも私自身がアイキャンプという言葉すら知らなかった眼科医だったからです。
 兵庫県西宮に本部を置くアジア眼科医療協力会では、インド・ダラムサラで2000年からこれまで11回のアイキャンプを実施し、チベット難民および周辺に住む貧困層インド人の進行白内障患者に手術治療の機会を提供してきました。ダラムサラはインド北西部ヒマラヤ山麓最西部の斜面に位置する辺境の町です。この地のチベット難民コミュニティにはチベット亡命政府が直轄してきたDelek病院がありますが、そこに眼科医はいません(眼科助手のみが勤務しています)。これまでの活動や調査を通して、チベット難民でも特に難民1世には言語や文化の違いからインド人社会に対する障壁を感じ、視力低下を自覚しても地元のインド州政府立Zonal病院を受診しない者が多くいることが判明しました。また亡命政府であるが故に、政府間レベルの援助事業が成り立ち難いことも判明しました。このようなチベット難民コミュニティに適切な眼科医療を提供するために、Zonal病院へと向かうチベット人患者の自然な流れを生み出す基盤作りの一環として、Zonal病院に勤務するインド人眼科医とチベット難民コミュニティ間の交流が親密になるよう、第三者である日本人による眼科医療協力を両者間の「架け橋」と位置づけ、これまでアイキャンプを主体とした活動を行ってきています。
 この11年間で、Zonal病院に勤務する地域唯一のインド人眼科医に、診察・手術指導も行ってきました。彼は顕微鏡下での手術経験は皆無でしたが、現場での技術指導により、自己閉鎖創を用いた白内障手術を執刀できるレベルに達しました。また、チベット人眼科助手がプライマリ・アイケアを担い、彼の手に負えない患者をインド人眼科医へ紹介受診させる、人種の壁を越えた連携体制が確立しつつあります。本アイキャンプにより、貧困層にあるインド人患者にも恩恵がもたらされることにより、社会的弱者であるチベット難民の当該地域における存在意義が高まる側面があることもわかってきました。
 このアイキャンプ活動によって、“われわれ自身が育てられている”と考えています。救われているのは、チベット人やインド人の患者さんではなく、われわれ自身です。アイキャンプが、どれほど「眼科医」としての“情熱”を高めてくれたことでしょう。この活動に参加できることに、深く感謝しております。